講師採用の書類選考をClaude Codeに任せたら選考時間が年間40時間減った話

講師採用の書類選考をClaude Codeに任せたら選考時間が年間40時間減った話

採用シーズンのあの憂鬱、知っているか

毎年春と秋に、憂鬱な作業がやってくる。

講師の採用だ。

求人を出すと、数十件の応募が届く。履歴書、志望動機書、それぞれをひとつひとつ開いて読んで、メモを書いて、「採用」「不採用」「保留」に分類する。

1件あたり10〜20分。20件来たら200〜400分。3〜4時間が採用書類の読み込みだけで消える。

しかも判断がブレる。朝イチに読んだ応募書類と、夕方に読んだ応募書類では、同じ基準で見ているつもりでも評価が変わることがある。疲れているときは甘くなるし、忙しいときは厳しくなる。

採用の判断が、そのときの自分のコンディションに左右される。

これがずっと気になっていた。採用は塾の未来を左右する。なのに、評価基準が属人化して、担当者のその日の状態に依存している。それでいいのか、と。

この記事では、Claude Codeを使って書類選考を半自動化し、選考時間を年間40時間以上削減した方法を全部書く。


最初はExcelで評価シートを作った。でも続かなかった

問題意識はずっとあった。だから最初に試したのは「評価シートのExcel化」だ。

評価基準をExcelに書き出して、各項目を5点満点で採点するシートを作った。志望動機の具体性、指導経験の有無、勤務可能日数、学歴、文章力——それぞれに点数をつけて合計点で判断する仕組みだ。

最初の1回は機能した。

でも2回目の採用シーズンになったとき、Excelシートを開く気になれなかった。採点作業が面倒で、結局「なんとなく読んで判断する」に戻ってしまった。

理由はわかっている。Excelに数字を入力する作業が、読む作業に上乗せされるからだ。「読む+採点する」は「読む」の1.5倍以上の手間になる。続かない。

次にChatGPTを試した。応募書類のテキストをコピペして「この人を採用すべきか評価して」と送ると、それなりの分析をしてくれる。

でもやはり続かなかった。毎回「評価基準」を説明しなければならないから。

「うちの塾はこういう方針で、こういう人材を求めていて、こういう基準で評価している」という文脈を、ChatGPTは会話をまたいで覚えていない。毎回ゼロから説明する。それだけで5〜10分かかる。

ショートカットのつもりが、かえって手間が増えた。


Claude Codeで何が変わったか

Claude Codeを使い始めて、決定的に変わったことが1つある。

「評価基準ファイル」を一度作れば、毎回説明しなくていい。

Claude Codeはパソコン上のファイルを読んで動く。「採用基準.txt」というファイルを作っておけば、毎回「うちの評価基準はこれ」と説明しなくてよくなる。ファイルを読んで、そのまま基準に沿って評価してくれる。

さらに、評価結果をファイルとして出力させることもできる。応募者ごとの評価メモをテキストファイルに保存させれば、後から見返せる。複数人で選考するときも共有できる。

ChatGPTとの違いを一言で言うと:

  • ChatGPT → 毎回ゼロから説明する。結果は画面に出力されるだけ
  • Claude Code → 評価基準ファイルを読んで動く。結果をファイルに保存できる

「秘書が書類を読んで意見を言ってくれる」から「採用担当の補佐が評価シートを作ってくれる」に変わった感覚だ。


正直に言う。最初は詰まった

ITが得意じゃない私が、いきなりすべてをスムーズに設定できたわけではない。

ターミナル(黒い画面)を初めて開いたとき、正直怖かった。コマンドを打ち間違えてエラーが出たとき、何が起きたのかわからなかった。

でも、毎回Claude Code自身に聞いた。

「このエラーが出た。どうすればいい?」

エラーメッセージをそのままコピペして聞くだけで、解決策を教えてくれる。「自分で調べる」必要がない。わからないことはAIに投げればいい。

詰まること自体は問題ではない。詰まったときに解決できれば十分だ。


専門用語を4つだけ解説する

この記事を読み進める前に、出てくる言葉を整理しておく。


① ターミナル(黒い画面)

パソコンに「命令」を文字で打つ場所。

マウスでアイコンをクリックする代わりに、文字を打って操作する。見た目は怖いが、やっていることは同じ。Macなら「ターミナル」というアプリが最初から入っている。


② Claude Code

AIに指示を出すと、実際にパソコン上で作業してくれるツール。

「この応募書類を評価して」と言うと、評価基準ファイルを読んで、評価メモを作って、ファイルに保存するところまでやってくれる。月$20(約3,000円)のサブスクで使える。


③ プロンプト

AIへの「お願い文」のこと。

「こういう基準で評価して、こういう形式で出力して」という指示をファイルに書いておく。Claude Codeはそのファイルを読んで動く。一度書けば何度でも使い回せる。


④ スラッシュコマンド

よく使う指示をショートカット登録したもの。

/senko と打つだけで「書類選考の評価をする一連の作業」が動く仕組み。毎回長い指示を打つ必要がなくなる。


必要なもの

必要なもの 費用 備考
Claude Code 月$20(約3,000円) claude.ai で登録
Mac または Windows PC 持っているもので可 スマホだけでは不可
テキストエディタ 無料 メモ帳・テキストエディットで可
応募書類のテキスト PDFからコピペ or メールの文面

月$20以外の追加費用はゼロ。


【最重要】事前準備:ここをサボると全部ぼやける

手順に入る前に、必ずやっておくことがある。

「採用基準ファイル」と「評価フォーマットファイル」を作ること。

ここをサボると、AIが出す評価が「どこの塾でも通用する汎用コメント」になる。「コミュニケーション能力が高そうです」「指導経験が豊富です」——そんな当たり障りのない評価しか出てこない。

自分の塾の基準を明文化することで、初めてAIが「使える評価」を出してくれるようになる。


ファイル1:採用基準ファイル(saiyo_kijun.txt

以下の内容をテキストファイルに書いて保存する。

【求める人物像】
(例:生徒に寄り添える人。勉強を教えることより、生徒の話を聞くことを大切にできる人。)

【必須条件】
(例:週3日以上勤務可能。大学生以上。指導経験1年以上。)

【歓迎条件】
(例:個別指導経験あり。担当科目:英語・数学。生徒からの信頼が高い。)

【不採用基準】
(例:志望動機が給与・条件のみ。文章に誤字・脱字が多い。勤務可能日が週2日未満。)

【評価の優先順位】
1. 志望動機の具体性(なぜ塾講師か、なぜうちの塾か)
2. 指導経験・実績
3. 勤務可能日数・時間帯
4. 文章の丁寧さ・誠実さ
5. 学歴・資格

【採用・不採用・保留の基準】
採用:優先順位1〜3がすべて高評価
保留:優先順位1〜2が高いが3に課題あり
不採用:優先順位1が低い、または不採用基準に該当

悪い例(これだとぼやける):

「いい人を採用したい。やる気がある人。」

良い例(これがあると評価が具体的になる):

「志望動機に塾名が具体的に入っているか確認。『バイトが時給がいいから』という動機は不採用。週3日以上勤務できないなら保留。誤字脱字が3つ以上あれば文章力に課題ありとメモする。」

具体的であればあるほど、AIの評価精度が上がる。


ファイル2:評価フォーマットファイル(hyoka_format.txt

AIが出力する評価のフォーマットを決めておく。

【応募者名】:
【総合評価】:採用 / 保留 / 不採用
【評価点数】:○点/10点

【各項目評価】
・志望動機の具体性:○点/3点
  コメント:

・指導経験・実績:○点/3点
  コメント:

・勤務可能日数:○点/2点
  コメント:

・文章の丁寧さ:○点/2点
  コメント:

【総評】:
(2〜3文で。採用理由または不採用理由を具体的に)

【面接で確認すべき点】:
(保留・採用の場合のみ)

このフォーマットを決めておくことで、応募者ごとに同じ形式の評価が出てくる。複数人を比較するときに一覧で見やすくなる。


Step by Step:設定手順

準備ができたら実際に設定に入る。まず1件だけ試す。うまくいったら全件対応に進む。


Step 0:ターミナルを開く

Macの場合:
Cmd+スペース → 「ターミナル」と入力 → Enter

Windowsの場合:
Windowsキー → 「cmd」と入力 → Enter


Step 1:Claude Codeをインストールする

npm install -g @anthropic-ai/claude-code

「command not found」と出た場合はNode.jsのインストールが先。https://nodejs.org から「LTS」版をダウンロード。

インストール後:

claude

ブラウザが開いてログイン画面が出る。claude.aiでアカウント作成・Proプランに加入。


Step 2:選考コマンドを作る

Claude Codeを起動した状態で、以下をコピペして送る:

書類選考を自動化するコマンドを作ってほしい。

動作:
1. 私が応募書類のテキストを貼り付けると
2. 以下のファイルを読んで評価する
   ・採用基準ファイル:saiyo_kijun.txt(【ここにファイルの中身を貼り付ける】)
   ・評価フォーマット:hyoka_format.txt(【ここにフォーマットの中身を貼り付ける】)
3. フォーマット通りの評価を出力する
4. 評価結果を「評価メモ/応募者名_日付.txt」というファイルに保存する

コマンド名は /senko にして。

Claude Codeがコマンドを自動で作成してくれる。


Step 3:1件だけ試す

コマンドが完成したら、実際の応募書類で試す。

/senko

(ここに応募書類のテキストを貼り付ける)

評価結果が出てきたら確認する。採点が採用基準ファイルの意図と合っているか確認する。ずれていたら採用基準ファイルを修正して再試行する。


Step 4:毎回使う

設定完了後の日常はこうなる。

  1. ターミナルを開いてClaude Codeを起動
  2. 応募書類をコピー(メールの文面、またはPDFからテキストをコピー)
  3. /senko と打ってEnter → 応募書類を貼り付け
  4. 評価結果を確認
  5. 「評価メモ」フォルダに自動保存される

1件あたり3〜5分。 以前の10〜20分から約70〜80%削減。


私が実際に詰まった3つのポイント

詰まりポイント①:評価が毎回「採用」になってしまう

症状:
どの応募書類を入れても「採用」と出てくる。不採用の判断をしてくれない。

原因の調査:
採用基準ファイルに「不採用基準」を書いていなかったことが原因だった。「こういう人を採用したい」という条件だけ書いて、「こういう人は採用しない」という基準がなかった。AIは「採用したい条件」に照らして評価するので、不採用の根拠がなければ何でも「採用」になる。

解決策:
saiyo_kijun.txt に「不採用基準」セクションを追加した。「志望動機が条件のみ」「週2日以下の勤務しかできない」「誤字脱字が多い」など、具体的な不採用条件を書いた。

教訓: AIへの指示は「してほしいこと」だけでなく「してほしくないこと」も明示する。


詰まりポイント②:評価メモが上書きされてしまう

症状:
2件目の評価をしたら、1件目の評価メモが消えて上書きされてしまった。

原因の調査:
コマンドの保存先ファイル名が固定になっていて、毎回同じファイル名で上書き保存していた。

解決策:
Claude Codeに「保存ファイル名に応募者名と日付を入れて、上書きされないようにして」と指示して修正してもらった。以降は 評価メモ/田中太郎_20260427.txt のように個別のファイルで保存される。

教訓: 「うまく動いていない」と感じたらAIに「何が問題か確認して、修正して」と頼む。自分でデバッグしなくていい。


詰まりポイント③:PDFの文字がコピーできない

症状:
PDFで届いた履歴書の文字をコピーしようとしたら、文字化けしてうまくコピーできなかった。

原因の調査:
スキャンしたPDF(画像データ)で、テキストが埋め込まれていないタイプだった。

解決策:
2つの対応をした。
1. 応募時の案内に「履歴書はテキスト入力のPDFまたはWordで提出してください」と明記した
2. どうしても画像PDFしかない場合は、MacのプレビューでOCR機能を使ってテキストを抽出した

教訓: 書類選考の自動化を始めるなら、応募書類の提出形式を事前に指定しておくと運用がスムーズになる。


プロンプトの育て方:使えば使うほど精度が上がる

採用基準ファイルは「育てるもの」だと思っている。最初から完璧なものはできない。

1ヶ月目:とにかく使いながら修正する

実際に使いながら「この評価はちょっと違う」というポイントをメモしておく。

「この人はAIが『採用』と言ったけど、実際に面接したらすぐ辞めそうだった」という経験があれば、その特徴を「不採用基準」に追加する。

2ヶ月目:面接結果をフィードバックする

採用した人が実際にどうだったかを採用基準ファイルに反映させる。

「志望動機に具体性があった人は定着率が高かった」「勤務可能日数は多くても、曜日の柔軟性が低い人は使いにくかった」——こういった実体験の蓄積が、採用基準を育てていく。

3ヶ月目:ほぼ自動で動くようになる

採用基準が育つと、AIの評価精度が上がる。「採用」と出た人を面接すると、実際に採用できるケースが増える。「不採用」と出た人を見返しても「確かにこれは難しいな」と思えるケースが増える。

評価を確認するだけで判断できるようになり、自分が読む時間がさらに短くなる。


応用編:同じ仕組みで何ができるか

書類選考の自動化と同じ考え方で、採用関連の他の作業も自動化できる。

① 面接質問リストの自動生成

評価メモを読んで「この応募者の面接で確認すべき点」を自動で出力させる。

「保留にした理由が『勤務日数の確認が必要』なら、面接で勤務可能曜日を具体的に確認する質問を3つ作って」

面接準備の時間が短縮される。

② 採用可否の報告メール下書き生成

選考結果が出たら、不採用通知メールの下書きを自動生成させる。

「この応募者は書類選考で不採用になった。丁寧な不採用通知メールを書いて」

毎回ゼロから書いていた通知メールが1分で完成する。

③ 選考結果の集計レポート

採用シーズンが終わったら、全応募者の評価メモをまとめて「今回の採用状況レポート」を自動生成させる。

応募数、採用数、不採用理由の傾向——こういった数字を自動でまとめてくれる。次の採用に活かせる。

④ 採用基準の見直し提案

蓄積した評価メモを読んで「採用基準の改善点」を提案させる。

「過去20件の評価メモを読んで、採用した人と不採用にした人の違いを分析して、採用基準の改善点を提案して」

自分では気づかなかった傾向を見つけてくれることがある。

⑤ 採用広告の文章チェック

求人原稿を書いたら、採用基準ファイルと照らし合わせて「求人票が採用基準と合っているか」を確認させる。

「この求人票を読んで、採用基準ファイルの人物像と合致しているか確認して。ミスマッチが起きそうな部分があれば指摘して」


よくある詰まりポイントQ&A

Q:AIの評価を信頼していいのか?最終判断は人間がすべきではないか?
A:最終判断は必ず人間がする。AIは「評価の補助」をするものだ。AIが「採用」と出した書類でも、自分で読んで違和感があれば不採用にしていい。逆に「不採用」と出た書類でも、何か引っかかるものがあれば面接に呼ぶ判断をしていい。AIは「読む手間を省く」ツールであって「判断を委ねる」ツールではない。

Q:複数のスタッフで選考する場合、どう運用するか?
A:採用基準ファイルと評価フォーマットファイルを共有フォルダに置く。各スタッフがそのファイルを使って評価する。評価メモも共有フォルダに保存させることで、全員が同じ基準で選考できる。

Q:Wordファイルで届いた履歴書はどう処理するか?
A:Wordファイルはテキストをコピーできるのでそのままコピペできる。「全選択(Ctrl+A)→ コピー」で文字をコピーしてClaude Codeに貼り付ければOK。

Q:応募者が多い場合(50件以上)、効率化できるか?
A:1件ずつ処理するより、まず「不採用基準」に明らかに当てはまる書類を人間が素早く判断して除外してから、残りをAIで評価する2段階方式が効率的だ。「勤務日数が週2日以下」なら即不採用、という基準なら1件10秒で仕分けできる。

Q:採用基準ファイルを他のスタッフに見せることへの抵抗がある。
A:採用基準を明文化することへの抵抗は理解できる。ただ、明文化することで「なんとなく感覚で決めていた」採用が客観化される。開示に不安があれば、まず自分だけが読むファイルとして使い始め、慣れてきたら共有を検討する形でもいい。

Q:Windowsでも使えるか?
A:使える。インストール手順はMacとほぼ同じ。コマンドプロンプトまたはPowerShellを使う。


初期設定にかかる時間の目安

ステップ 所要時間
採用基準ファイルの作成 30〜60分(ここが一番時間がかかる)
評価フォーマットファイルの作成 15〜20分
Claude Codeのインストール 5〜10分
選考コマンドの作成 20〜30分
テスト評価・調整 30〜60分
合計 約1.5〜3時間

一度設定すれば、以降は1件あたり3〜5分。

採用シーズンに20件応募が来ると仮定すると:
- 設定前:20件×15分=300分(5時間)
- 設定後:20件×4分=80分(1時間20分)

1回の採用シーズンで3時間40分削減。年2回なら年間7時間以上の削減になる。

採用基準の明文化・評価の属人化解消という効果を合わせると、時間削減以上の価値がある。


まとめ

書類選考にかけていた時間を振り返ってほしい。

1件10〜20分。20件で200〜400分。年2回の採用シーズンで400〜800分。年間約7〜13時間が書類を読む作業に消えていた。

さらに問題だったのは、評価基準が属人化していたことだ。疲れているときと元気なときで判断がブレる。担当者が変わると基準が変わる。

Claude Codeを使えば、この2つの問題が同時に解決できる。

  • 評価時間が3〜5分に短縮される
  • 採用基準が明文化されて、誰がやっても同じ基準で評価できる

ITが苦手でも関係ない。採用基準を言葉にできれば、それだけでAIが動いてくれる。

初期設定の2〜3時間で、毎年10〜40時間を取り戻せる。

次の採用シーズンが来る前に、始めてほしい。


採用のAI活用について質問があればコメント欄で教えてください。「こんな使い方もできないか」という声が次の記事のネタになります。

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