VS Code、複数AIエージェントでの開発を容易にする新機能「Agent window」プレビュー公開 - Publickey
目次
- こんなことで悩んでいないか
- Agent windowとは何か——塾の現場に置き換えて理解する
- なぜ塾でAIエージェントの同時起動が重要なのか
- 実用例1:教材作成の完全分業
- 実用例2:成績データ分析と個別指導計画の一発生成
- 実用例3:保護者対応メールの自動生成と校閲
- 導入に必要なもの
- よくある質問
- まとめ
こんなことで悩んでいないか
塾の現場で「AI使ってみたいけど、何から始めればいいかわからない」という声をよく聞く。ChatGPTで文章を書いたり、Claudeで資料を作ったり。ただ「1つのAIに全部任せる」のは限界がある。
- 教材作成にはClaudeが得意だが、データ分析には向いていない
- 成績表の処理にはPythonが要るが、コードを書くのは面倒
- 保護者向けの案内文は丁寧さが必要だが、毎回ゼロから書くのは時間の無駄
こんなジレンマを抱えているなら、今回の話はかなり役に立つ。VS Codeの新機能「Agent window」を使えば、複数のAIエージェントを同時に動かして、それぞれ得意な仕事を分担させられる。
つまり——教材作成・データ分析・校正・校閲を、それぞれ別のAIに任せて同時進行できる。これがどういうことか、順を追って説明する。
Agent windowとは何か——塾の現場に置き換えて理解する
まず、この機能が何をするものかを正確に押さえておく。
Publickeyの記事(後述の参考リンク参照)によると、VS Codeの「Agent window」は、複数のAIエージェントを同時に起動して、それぞれ独立したタスクを実行できる機能だ。
従来のVS Codeでは、1つのチャット画面で1つのAIとしか対話できなかった。つまり「Claudeに教材を作ってもらっている間は、別の作業でAIに質問できない」という状態だった。
Agent windowでは、タブごとに異なるAIエージェントを立ち上げられる。それぞれが独立してコードを書いたり、ファイルを編集したり、ターミナルでコマンドを実行したりできる。
塾の現場で言うなら「3人の優秀なアシスタントを同時に雇える」ようなものだ。
1人は教材作成専門、1人はデータ分析専門、1人は校正専門。それぞれが同時に動き、終わったら報告してくる。しかもそれぞれの得意分野で最高のパフォーマンスを発揮する。
これがどう塾の業務に効くのか。具体的に見ていく。
なぜ塾でAIエージェントの同時起動が重要なのか
塾の業務は、大きく分けて3つに分類できる。
| 業務カテゴリ | 具体例 | 得意なAI |
|---|---|---|
| 教材作成 | 問題作成、解説文、単語リスト、模擬テスト | Claude(文章生成・構成力) |
| データ処理 | 成績分析、偏差値計算、進捗管理表 | GPT-4o(コード生成・計算) |
| 文書作成 | 保護者向け案内、学習計画表、面談資料 | Claude(丁寧な文章)+Gemini(校正) |
これらの業務は本来、同時に発生する。たとえば——
- 月曜日の朝に「今週の小テスト」と「先週の成績集計」と「保護者への週報」を同時に仕上げたい
- 模試の結果が出た翌日に「分析レポート」「個別指導計画」「保護者向け結果通知」を一気に作りたい
従来のAI活用では、これらを順番に処理するしかなかった。1つのAIに「まず教材を作って、次にデータ分析して、最後にメール書いて」と指示すると、前のタスクが終わるまで待たされる。
Agent windowなら、3つのエージェントを同時に立ち上げて、それぞれに別々のタスクを任せられる。これが時間短縮に直結する。
実用例1:教材作成の完全分業
具体的な使い方を見ていく。まずは教材作成から。
ある塾の現場では、週に1回「英単語テスト」と「数学の小テスト」と「理科の確認問題」を同時に作ることがある。従来はこれに2〜3時間かかっていた。
Agent windowを使うと、以下のように分業できる。
エージェントA:英単語テスト作成(Claude)
プロンプト例:
システム英単語の1〜100番から、空欄補充問題を10問作成してください。 正解と解説も含めて、Markdown形式で出力してください。
エージェントB:数学小テスト作成(GPT-4o)
プロンプト例:
二次関数の最大最小問題を3問作成してください。 難易度は標準レベルで、解答・解説付きでお願いします。 LaTeX形式で出力してください。
エージェントC:理科確認問題作成(Claude)
プロンプト例:
中学理科・化学分野「中和反応」に関する確認問題を5問作成してください。 選択式で、各問に解説をつけてください。
これらを同時に実行すると、10〜15分で3つの教材が完成する。従来なら1つずつ作っていたので、単純計算で3倍の効率化だ。
さらに、できあがった教材を別のエージェントに渡して「誤字脱字チェック」や「難易度の調整」を依頼することもできる。これも同時進行だ。
実用例2:成績データ分析と個別指導計画の一発生成
次に、データ処理と文書作成の組み合わせ。
塾では、模試の結果が出た後に「全体の傾向分析」と「生徒ごとの個別指導計画」を作る必要がある。これが地味に重い作業だ。
Agent windowなら、以下のように分担できる。
エージェントA:データ分析(GPT-4o)
CSV形式の成績データを読み込ませて、以下の処理を依頼する。
このCSVデータを分析して: 1. 科目ごとの平均点・最高点・最低点 2. 前回比の変化(上昇した生徒・下降した生徒) 3. 偏差値の分布 を計算し、表形式で出力してください。
エージェントB:個別指導計画作成(Claude)
エージェントAの分析結果を参照しながら、以下のタスクを実行させる。
以下の成績データに基づいて、成績が下降した生徒3名の個別指導計画を それぞれ作成してください。各計画には: - 現状の課題 - 次回までの学習目標 - 具体的な学習方法(使用する参考書・問題集を含む) を記載してください。
このとき、エージェントAが先に終わっていなくても、エージェントBは待たずに別の準備を始められる。データ分析が完了した時点で、結果をBに渡せばいい。
ポイントは「待ち時間ゼロ」で作業が進むことだ。
従来なら「データ分析が終わってから個別計画を作る」という直列処理だった。Agent windowなら、分析中に別のエージェントで「個別計画のテンプレート作成」や「保護者向けの説明文の下書き」を同時に進められる。
実用例3:保護者対応メールの自動生成と校閲
保護者対応の文書作成も、複数エージェントの同時起動が効く場面だ。
たとえば、学期末の「成績報告書」と「面談のお知らせ」と「夏期講習の案内」を同時に作る必要があるとする。
エージェントA:成績報告書作成(Claude)
以下の成績データをもとに、保護者向けの成績報告書を作成してください。 形式は「お子様の学習状況」→「今後の課題」→「家庭でのサポート方法」の順で。 丁寧な敬語で、1人あたり200字程度でお願いします。
エージェントB:面談案内作成(Gemini)
保護者面談のお知らせ文を作成してください。 以下の要素を含めてください: - 面談の目的 - 日時候補(〇月〇日〜〇日) - 持ち物 - 所要時間(30分程度)
エージェントC:校閲・調整(GPT-4o)
以下の2つの文書を校閲してください: 1. 成績報告書(エージェントAの出力) 2. 面談案内(エージェントBの出力) - 誤字脱字のチェック - 敬語の統一 - トーンの一貫性 を確認し、修正点があれば提案してください。
この流れで、30分かかっていた作業が5〜10分で完了する。しかも、エージェントCが全体の品質をチェックするので、最終的な品質はむしろ向上する。
導入に必要なもの
ここまで読んで「やってみたい」と思ったなら、必要なものを整理しておく。
| 項目 | 内容 | 費用 |
|---|---|---|
| VS Code | コードエディタ(無料) | 0円 |
| GitHub Copilot(拡張機能) | Agent windowを使うにはこれが必要 | 月額約2,500円(個人プラン) |
| 各AIのAPIキー | Claude API / OpenAI API / Gemini API | 従量課金(月数百円〜数千円) |
| PC | VS Codeが動けばOK。MacでもWindowsでも使える | 既存のものでOK |
正直なところ、最初の設定には少し手間がかかる。APIキーの取得や拡張機能のインストールなど、ITに詳しくない人にはハードルが高い部分もある。
ただ、一度設定してしまえば、あとはプロンプトを打つだけで複数のAIエージェントが同時に動く。初期投資の価値は十分にある。
特に、月に10時間以上AI作業に使っているなら、導入する価値は間違いなくある。
月10時間の作業が、Agent windowで3分の1になるとする。月に約7時間の削減。年間で84時間。時給1,500円と計算しても、年間12万円以上の時間価値が生まれる計算だ。
参考までに、塾運営の業務効率化に使うPCとして、MacBook Air M4は軽量で持ち運びやすく、複数エージェントを同時に動かしても動作が軽い。教室と自宅の両方で使うなら検討してもいいだろう。
よくある質問
Q1. Agent windowは日本語で使えるのか?
A. 使える。プロンプトは日本語で書けるし、出力も日本語で返ってくる。ただし、エラーメッセージなどは英語の場合もあるが、それも含めてAIに日本語で説明させれば問題ない。
Q2. 複数のAIエージェントを同時に動かすと、パソコンが重くなったりしないか?
A. 基本的には大丈夫。各エージェントの処理はクラウド上で行われるため、PCの負荷はWebブラウザを複数タブ開いた程度。ただし、古いPCだとVS Code自体の動作が重くなることはある。その場合はiPad 10.9インチでリモート接続する手もある。
Q3. どのAIをどのエージェントに割り当てればいいかわからない
A. 最初は以下の組み合わせを試してみてほしい。
- 文章作成・教材作成 → Claude
- データ分析・コード生成 → GPT-4o
- 校正・校閲 → Gemini
この組み合わせが最もバランスがいい。慣れてきたら、自分なりの組み合わせを見つけるといい。
Q4. 保護者や生徒に「AIで作った」とわかってしまうのが不安
A. 最終的な出力は必ず人間がチェックすれば問題ない。Agent windowの強みは「下書きを一気に複数作れる」こと。最終調整は人間が行う。むしろ、人間がチェックする時間を確保できるようになるので、品質は向上する。
Q5. 無料で試せないか?
A. GitHub Copilotには無料トライアル期間がある(通常30日間)。まずはそれで試してみるのがおすすめだ。ただし、APIの利用料は別途かかるので注意。
Q6. 複数のエージェント同士で会話させられるのか?
A. 現時点では、直接エージェント同士が会話する機能はない。ただし、一方のエージェントの出力をファイルに保存し、もう一方のエージェントがそのファイルを読み込む、という形で連携は可能だ。
まとめ
VS CodeのAgent windowは、塾の現場でAIを本格活用するためのゲームチェンジャーになる。
従来の「1つのAIに順番に指示する」方式から、「複数のAIに同時に指示する」方式に変わる。これだけで、教材作成・データ分析・文書作成の3つを同時に進められるようになる。
時間に換算すると、月に10時間の作業が3〜4時間に縮む可能性がある。年間で見れば70時間以上の削減だ。その時間を、生徒一人ひとりとの対話や指導の質を高めるために使える。
最初の設定には少し手間がかかるが、一度動かせばその効果は実感できるはずだ。
まずは無料トライアルで試してみてほしい。そして、実際にどの業務が効率化できたか、コメントで教えてほしい。次の記事で、その事例を紹介するかもしれない。
👉 まずはVS Codeを開いて、GitHub Copilotの拡張機能をインストールしてみよう。そこからすべてが始まる。
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